鳥獣戯画の謎とは?絵巻の意味や高山寺との関係について

This article is also available in English: The Mysteries of Choju-giga: Hidden Meanings in Japan’s Famous Animal Scroll

鳥獣戯画は兎や蛙などの動物が人間のように振る舞う姿を描いた日本を代表する絵巻です。しかし、その意味や作者には多くの謎が残されています。また、この絵巻は単なる戯画ではなく、風刺や宗教的なメッセージが隠されているのではないかという説もあります。この記事では、鳥獣戯画の「謎」について、高山寺との関係、明恵上人とのつながりも含めて順番に分かりやすく紹介します。

鳥獣戯画は4巻からなる絵巻です

鳥獣戯画は全4巻(甲・乙・丙・丁)から成る絵巻で、それぞれ画風が異なることから、作者、描かれた時期も異なると考えられています。なかでも有名なのが甲巻で、兎や蛙、猿などの動物たちが人間のように遊ぶ姿が描かれています。「鳥獣戯画」と聞いて多くの人が思い浮かべるのは甲巻の場面です。

鳥獣戯画の二つの「謎」

鳥獣戯画の「謎」は主に二つあります。

一つ目は四巻それぞれの画風や内容が大きく異なることです。甲巻以外の巻では擬人化されていない動物や風景、人物なども描かれていますが、甲巻のようなユーモアや活き活きとした躍動は感じられません。絵の評価や人気も甲巻が群を抜いています。全く別物に思えるこの4巻が一つの絵巻として伝えられてきた明確な理由は現在のところ分かっていません。

もう一つの大きな謎が、「なぜこの絵巻が京都の高山寺で約900年にわたり別格の扱いを受けてきたのか」という点です。この鳥獣戯画は京都の高山寺で華厳宗の開祖の絵「華厳宗祖師絵伝」とお寺の実質的な開祖の「明恵上人(みょうえしょうにん)の姿絵」と同じ箱に保管されてきました。単なる戯画の扱いとしては異例です。このため「この絵巻は単なる戯画ではなく何らかの宗教的な教えが描かれているではないか」という説もあります。

美術評論家の山田五郎先生もYouTubeチャンネル「オトナの教養講座」でこの絵巻の謎について興味深い解説をされていますので参考にしてください。

明恵上人とは?鳥獣戯画と高山寺の関係

高山寺の実質的な開祖である明恵上人は若き日に「求道の思いから右耳を切り落とし、釈尊への恋慕から二度にわたってインド行きを企んだ」ことがあり、「華厳を基礎とするが、華厳と真言密教を融合した厳密(ごんみつ)と呼ばれる独自の宗教観を打ち立てた」僧侶です(高山寺HPより)。

明恵上人は動物好きでも知られており、高山寺には今でも動物の彫刻が多数あるそうです。「明恵の教え」と「動物」ひいては「鳥獣戯画」には何か関係があるのかもしれません。

高山寺の僧 明恵上人

鳥獣戯画をもっと楽しむために

言葉での説明がないゆえに様々な解釈が成り立つ鳥獣戯画。その有名な一場面について「兎と猿は何をしている?有名な場面の三つ解釈」で紹介していますので参考にしてください。
鳥獣戯画の基本的な内容や見どころについては「鳥獣戯画とは?なぜ面白いのか|日本最古の漫画の3つの見どころ」で説明しています。

「対訳 鳥獣戯画」という書籍もおすすめです。白眉とされる甲巻の魅力を余すところなく紹介しています。大江健三郎氏のノーベル賞受賞講演の翻訳された山内久明先生の格調高い英文付きですので、海外の方へのプレゼントや、日本文化を英語で説明する勉強にも利用されている人気のシリーズです。小学校の教科書にも推薦図書として掲載されています。
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