ブリューゲルのバベルの塔:なぜ神様は怒ったのかをわかりやすく解説
ブリューゲルの『バベルの塔』は、旧約聖書の有名な物語を描いた作品です。
人々は天まで届く塔を建てようとしましたが、神は怒り、言葉を乱して人々を地上に散らしました。
では、神様はなぜ怒ったのでしょうか。
それは単に「高い塔を建てたから」ではありません。問題だったのは、人間が神の意志に逆らい、自分たちの力だけで安全や秩序を築こうとした、その傲慢さにあったと考えられます。
この記事では、山田五郎先生の解説も参考にしながら、『バベルの塔』の背景と見どころをわかりやすく紹介します。
なぜ神様は怒ったのか
『バベルの塔』の物語で重要なのは、「塔の高さ」そのものよりも、人々の心のあり方です。
山田五郎先生の動画では、神が怒った理由として主に二つの見方が紹介されています。
一つ目は、旧約聖書の流れから読む説です。
ノアの洪水の後、神は人間に「産めよ、増えよ、地に満ちよ」と命じました。ところが人々は散らばらず、一箇所に集まり続けるために塔を建てようとしました。つまり、塔は神の意志に逆らう象徴だった、という考え方です。
二つ目は、『ユダヤ古代誌』に見られる説です。
こちらでは、人々は再び洪水が起きても滅びないように、高い塔を築こうとしたとされます。もしそうだとすれば、それは神への信頼ではなく、神に対する反抗や復讐心の表れだったことになります。バベルの塔の建築を主導したのはノアのひ孫だということも象徴的です。
このように考えると、神が怒った理由は、人間の建築技術そのものではなく、「神に従わず、自分たちの力だけで安全と秩序を手に入れようとしたこと」にあったと理解できます。
現代の視点で見る『バベルの塔』の物語
この物語は、昔の宗教的な説話であると同時に、現代にも通じるテーマを持っています。
この物語が作られた時代、人々は世界を神の意志のもとで理解していました。いつか神が救い主を遣わし、人間には解決できない問題を救ってくれると信じられていたのです。そのため、人間が「神の領域」に踏み込むことは傲慢だと考えられていました。バベルの塔も、そうした人間の傲慢さを戒める物語の一つといえます。
今は科学の時代です。人間は知恵と技術によって多くのことを可能にしてきました。そして、かつての人々が「神をも恐れぬ」と眉をひそめたような挑戦にも現代の科学者たちは果敢に取り組んでいます。その一方で、「できること」と「してよいこと」は同じではありません。『バベルの塔』の物語は、人間の進歩そのものを否定するというより、力を持ったときにこそ謙虚さが必要だと語っているようにも見えます。
お子さまと読むなら、
「高い塔を作ったことが悪かったの?」
「みんなが一つになることは、なぜいけなかったの?」
といった問いから話を広げると、単なる昔話ではなく、人間の生き方を考えるきっかけになると思います。
ブリューゲルの『バベルの塔』の見どころ
16〜17世紀のネーデルランドでは『バベルの塔』を題材にした絵が数多く描かれましたが、その中でもブリューゲルの作品は特に有名です。壮大な構図と緻密な描写によって、今も多くの人を引きつけています。
この作品の魅力は、ただ壮大な塔を描いているだけではないところにあります。近くで見ると、塔の周囲には小さな人々がびっしりと描かれ、巨大な建築に熱中する人間たちの姿が細かく表現されています。そのため、見る人は塔の壮大さに圧倒されると同時に、人間の野心や愚かさについても考えさせられます。
また、塔がどこかローマの円形闘技場のように見える点も興味深く、山田五郎先生の解説では、その原形がコロッセオにある可能性にも触れられています。
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