アダムとイブに学ぶ「可愛い子には旅をさせよ」の真の意味

ローマ市内にある世界で一番小さい国、ヴァチカン市国のシスティーナ礼拝堂はいつか訪れてみたい場所の一つです。旧約聖書の創世記の物語を描いたミケランジェロの天井画はルネッサンスを代表する作品の一つです。

太陽、月、植物の創造
原罪と楽園追放

「太陽、月、植物の創造」では「太陽と月を作っている神様」と「植物を作っている神様」が一つの画面に描かれています。
「原罪と楽園追放」では中央に「善悪を知る実(禁断の果実)」がなる木があり、左側に原罪の場面が、右側に楽園追放の場面が描かれています。「女性の上半身を持つ蛇に禁断の果実を渡されているアダムとイブ」と「天使に脅されて楽園から追いやられているアダムとイブ」が対比されています。

東洋思想に「陰陽論」があります。世の中のものは全て「陰」と「陽」で成り立っているという考え方です。これを図にしたのが「陰陽太極図」です。

この図では黒と白の二匹の蛇が絡み合っています。黒が陰、白が陽を表しています。
黒蛇の中の白い点、白蛇の中の黒い点は変容の可能性を表しています。「陰極まれば陽に転じ、陽極まれば陰に転ず」という言葉が示す通り、行き過ぎれば逆に転じるのです。
陰と陽は片方だけでは存在しえず、絡み合って、あるいは混然一体となり存在していることを示す図でもあります。

「アダムとイブの失楽園」も「秩序」と「混沌」という2つの要素から考えることが出来ます。秩序は既知のものであり、規律の象徴でもありますが、行き過ぎれば個性や自由を抑圧する権威主義や画一的で退屈な官僚組織にも通じます。混沌は未知であり、根源や可能性を象徴しますが、危険や闇、破壊などにも通じます。


最新の脳科学の知見では右脳と左脳という脳の構造も新規さと定型化という現実社会の二元性に適応して発達したものだとされています。新奇さとは未知であり混沌、定型化とは既知であり秩序です。

秩序と混沌を擬人化すると、秩序は男性であり、混沌は女性です。社会の秩序は男性が作り上げたものであり、混沌は全てを生み出す源であるからです。陰陽論では陰は女性、陽は男性とされています。つまり、男性である秩序は陽に、女性である混乱は陰に対応していることになります。

「アダムとイブと失楽園」では、エデンの園が秩序を、外界が混沌を象徴します。蛇は秩序に忍び込んだ混沌です。「陰陽太極図」の黒い点に当たります。エデンの園に蛇が現れることは、神も防ぐことが出来ない、必然なのです。アダムとイブは蛇にそそのかされた結果、エデンの園を追われますが、同時に善悪を知り、自意識に目覚めました。人類は原罪を負いますが、他の動物とは違う進化を遂げることが出来たのです。

同様に外界(混沌)に追放されたアダムとイブは黒い蛇の中の白い点(秩序)です。マリアとイエスも混沌に遣わされた秩序です。秩序は崩壊し、混沌は新しい秩序を作り出します。陰と陽と同じように秩序と混乱も片方だけでは存在しえないのです。

陰陽道の説く「中庸の道(陰と陽の中間の道)」は秩序と混沌のバランスです。片足を秩序(既知)に乗せながら、もう一つの足を混沌(未知)に踏み込むことで既知の領域を広げることが成長につながるのです。

完全な秩序が存在しないということは、子どもにとって完全に安全な環境を作ることは不可能だということです。あらゆる危険を排除しようとする過保護な親は、親自身が子どもにとっての問題となり、混沌を生み出します。勿論、完全な放任主義も良くありません。困難を克服し、自分の可能性を追求しながら成長出来る強い子どもに育てるためには秩序と混沌のバランスを図ること、つまり中庸の道が大切なのです。
※この記事は「生き抜くための12のルール 人生というカオスのための解毒剤」を参考に書きました。

創世記の物語を読み直したり、絵画を鑑賞したりすることで新しい気づきがあるかもしれません。
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