3分で分かるセザンヌの生涯|遅咲きの「近代絵画の父」
ポール・セザンヌは、「近代絵画の父」と呼ばれ、ピカソやマティスをはじめとする20世紀の画家たちに大きな影響を与えたフランスの画家です。しかし、その作品は長い間なかなか認められませんでした。それでも自分の絵を追求し続け、晩年になってようやく高く評価されるようになります。そんな遅咲きの画家、セザンヌの生涯をたどってみましょう。
画家になることを父に反対される
ポール・セザンヌは1839年、南フランスのエクサン・プロバンスに生まれました。
恵まれた環境で育ったセザンヌは少年時代から勉強家で成績も良かったのですが、将来は画家になりたいと心を決めていました。ところが、銀行を経営するお父さんはセザンヌが画家になることに大反対でした。
父親の希望に従って大学で法律を学びますが、夢を捨てることができず、何度も何度も話し合い、やっとのことで画家になることを許されます。そして、22歳の時、希望に胸を膨らませてパリへ向かいます。
私立の画塾に通いましたが、国立美術学校への入学は認められず、憧れていたパリでの生活は思うようにいきませんでした。わずか数か月で故郷へ戻ってしまいます。父親の銀行で働き始めますが、画家への夢を諦めることはできず、翌年、再びパリへ向かいました。
画像の『「レヴェヌマン」紙を読む画家の父』(1866年)は父親をモデルに描いた肖像画で、新聞を読む姿が力強い筆づかいで表現されています。

パリでの苦闘と印象派との出会い
パリに戻ったセザンヌは本格的に画家を目指しますが、当時のフランス美術界の権威「サロン」に何度応募しても、作品は受け入れられません。
この頃のセザンヌは、絵の具を厚く塗った暗く激しい作品を多く描いていました。そんな彼の絵に大きな変化をもたらしたのが、カミーユ・ピサロとの出会いです。
ピサロと一緒に戸外で制作するようになり、それまで暗かった作品にも次第に明るい色彩が見られるようになります。
しかし、1874年にモネ、ルノワール、ドガ、ピサロらとともに参加した第1回印象派展でも、1877年の第3回印象派展でも、作品は厳しい評価を受けました。
画像の『首吊りの家』(1873年)はピサロの影響を受け、明るい色彩を取り入れるようになった時期の作品です。

故郷で自分の絵を描き続ける
その後、セザンヌはパリから距離を置き、故郷のエクサン・プロバンスを中心に制作するようになります。
特に何度も描いたのが、故郷の近くにそびえるサント・ヴィクトワール山です。同じ山を場所や季節を変えながら繰り返し描きました。
また、身近なリンゴなどを何度も描き、色や形を追求した静物画は、セザンヌを代表する作品となりました。若い頃から描き続けてきた水浴する人々を、周囲の自然と一体となるように表現した大作『大水浴図』にも取り組みました。
流行や世間の評価にとらわれず、自分の絵を追求するセザンヌの作品は晩年になると、次第に注目を集めるようになりました。
画像の『リンゴとオレンジ』(1899年頃)は果物や食器、白い布を巧みに配置した、セザンヌの代表的な静物画です。

「近代絵画の父」と呼ばれるまで
56歳のときに開かれた初めての本格的な個展が転機となりました。特に若い世代の画家たちがセザンヌに注目するようになります。彼らが驚いたのは、セザンヌが、自然の形をとらえ直し、色や形を独自に組み立てるように描いていたことでした。それまでの絵画の常識を覆すような、革新的な表現だったのです。
晩年も故郷で制作を続け、1902年には郊外にアトリエを構えました。1906年10月、戸外で絵を描いている途中に激しい雨に遭って体調を崩し、10月23日、67歳で亡くなりました。死後、その評価はさらに高まります。
特にピカソやブラックは、セザンヌの絵に対する考え方に大きな影響を受けました。そこから、ものをさまざまな角度からとらえ、形を組み立て直す「キュビズム」という新しい絵画が生まれていきます。
こうして20世紀の新しい美術への道を開いたセザンヌは、今日、「近代絵画の父」と呼ばれています。

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