3分で分かるミケランジェロの生涯

ミケランジェロは「人類史上最高の芸術家の一人」と言われています。
代表作には高さ5メートルを超える『ダヴィデ像』、大理石に命が宿ったかのような『ピエタ』、天井いっぱいに広がる『天地創造』、祭壇壁を覆う『最後の審判』があり、さらに晩年には、世界最大級の教会であるサン・ピエトロ大聖堂の建築も指揮しました。
この記事では、彫刻、絵画、建築の三つの分野で活躍した「ルネサンスの巨人」の生涯を作品とともに3分で分かりやすく紹介します。

石とともに育った少年が『ピエタ』で世界を驚かせる

ミケランジェロ・ブォナローティは1475年にイタリア中部の村、カプレーゼで生まれました。父は役人でしたが、幼い頃に石工の家へ預けられて育ちます。

後にミケランジェロは、「乳母の乳より石の粉を吸って育った」と語っています。幼い頃から石に囲まれて育ったことが、世界最高の彫刻家への第一歩だったのかもしれません。

若い時から彫刻の才能を認められていたミケランジェロは、21歳のときにローマへ渡り、『ピエタ』を制作します。十字架から降ろされたイエスを聖母マリアが抱くこの作品は、大理石とは思えないほど柔らかな表情や衣服のひだが表現されています。

あまりに見事だったため、「本当にミケランジェロが彫ったのか」と疑う人まで現れました。そこで彼は、自分の名前を作品に刻みました。これは彼が署名した唯一の作品です。

『ピエタ』

『ダヴィデ像』で天才の名を世界に広める

26歳でフィレンツェへ戻ったミケランジェロは、『ダヴィデ像』の制作という大きなチャンスを掴みます。ダヴィデとは旧約聖書に描かれているイスラエルの王様で救世主キリストの祖先と言われています。

ありったけの力を注いで3年かけて完成させた、高さ5メートルを超える巨大な『ダヴィデ像』には、巨人ゴリアテとの決戦を前にした、緊張感あふれる瞬間が表現されています。勝利の姿ではなく、戦いが始まる直前の姿を選んだ点も印象的です。

鋭い視線、力強い筋肉、今にも動き出しそうな姿。人間の体をここまで美しく表現した彫刻は、それまでほとんどありませんでした。

『ダヴィデ像』を完成させたミケランジェロに、フィレンツェ共和国はヴェッキオ宮殿の大会議室を飾る壁画を依頼しました。その向かい側の壁を任されたのは、すでに名声を得ていたレオナルド・ダ・ヴィンチです。
レオナルドは『アンギアーリの戦い』を、ミケランジェロは『カッシーナの戦い』を描くことになりました。

二人の壁画はどちらも完成しませんでしたが、その下絵は人々を熱狂させ、若い芸術家たちに大きな影響を与えました。こうしてミケランジェロは彫刻だけでなく絵の世界にも大きな一歩を踏み出したのです。

『ダビデ像』

画家になりたくなかった画家

それでも、ミケランジェロは、自分は「彫刻家」であると考えていました。ところが、1508年にローマ教皇ユリウス2世からシスティーナ礼拝堂の天井画を描くよう命じられます。

最初は断ろうとしましたが、最終的には引き受けることになり、巨大な足場の上で約4年間、ほぼ一人で天井いっぱいに絵を描き続けました。

完成した天井画『天地創造』には、神が世界と人類を創った物語など、『旧約聖書』の創世記をもとにした9つの場面が生き生きと力強く描かれ、300人以上の人物が登場します。

中でも、神がアダムへ命を授けようと指を伸ばす『アダムの創造』、女性の上半身を持つ蛇や天使がアダムとイブとともに描かれた『原罪と楽園追放』などは西洋美術を代表する名画として世界中で親しまれています。

『アダムの創造』と『原罪と楽園追放』

生涯を芸術にささげた巨匠

60代になると、再びシスティーナ礼拝堂で祭壇壁一面に『最後の審判』を描きました。キリストが人々を天国と地獄へ分ける場面を描いた壮大な作品です。

この絵の中にはミケランジェロ自身も登場しています。皮をはがれた聖人の皮膚に、自分の顔を描き込んだのです。なぜこのように自分を描いたのかは分かっていませんが、神への畏れや、自分の弱さ、芸術に人生をささげた苦悩などが表れているとも考えられています。

ミケランジェロの才能は彫刻や絵画だけにとどまりませんでした。晩年には、サン・ピエトロ大聖堂の主任建築家となり、巨大なドームの設計を見直し、現在の美しい姿の土台を築きました。

そして、80歳を過ぎても設計や制作を続け、89歳で亡くなる直前まで芸術と向き合い続けました。芸術に人生をささげたミケランジェロの情熱は、その作品を通して今も世界中の人々を魅了し続けています。

『最後の審判』

ミケランジェロについてもっと知る

画家の人生は、文章だけでなく作品と一緒に見ることでより深く理解できます。ミケランジェロについてもっと知りたいという方には『おはなし名画シリーズ』の「レオナルド・ダ・ヴィンチとミケランジェロ」がお薦めです。『おはなし名画シリーズ』は「子どもが気軽に本物の芸術に触れられる環境を作りたい」という思いからできたシリーズで、名画とともに画家の生涯を辿ります。絵が大きくて色も鮮やかな専門家からも高い評価を得ています。日本図書館協会/全国学校図書館協議会の選定図書です。

ルネッサンス期に生まれ、互いに影響しあい、競い合い、素晴らしい作品を生み出した二人の天才の人生を32点の作品と大きくて綺麗な印刷で楽しめます。

本体価格 ¥2,912(税別)
B4変型判 60ページ
作品点数 32点

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