ドラゴンボールのルーツは西遊記?その奥にある『大唐西域記』と玄奘三蔵

『ドラゴンボール』の物語をたどると、『西遊記』、そしてそのさらに奥にある『大唐西域記』へとつながっていきます。

『ドラゴンボール』に登場する孫悟空という名前や如意棒、筋斗雲など、そのモチーフの多くは中国の古典小説『西遊記』に由来しています。『西遊記』もまた、実在の人物の旅をもとに生まれた物語です。この記事では、ドラゴンボール、西遊記、そして玄奘三蔵の旅がどのようにつながっているのかを、日本を代表するシルクロード画家・平山郁夫画伯の話も交えてわかりやすく紹介します。

『大唐西域記』とは何か

『大唐西域記』は、7世紀に中国で活躍した僧侶・玄奘三蔵が、仏典を求めてインドへと旅した17年にわたる記録です。
玄奘の口述をもとに弟子が編纂したもので、当時の西域やインドの地理・文化・宗教を詳細に記されています。玄奘三蔵は、仏教を深く学ぶため、一人でインドへと向かい、多くの教えと経典を持ち帰りました。この旅は単なる冒険ではなく、仏教を深く理解するための命がけの求道の旅だったのです。

「熱風が吹き荒れる砂漠をさまよい、天を衝く氷の山を越え、猛獣や毒蛇、盗賊の潜む密林を抜ける」という壮大な旅は人々の心を捉え、何百年にもわたって語り継がれてきました。そして、人々の間で語られるうちに、伝説や説話が加わり、やがて神や妖怪が登場する物語へと変化していきます。

『西遊記』の成立

こうして成立したのが、16世紀の明の時代の長編小説『西遊記』です。
玄奘三蔵(三蔵法師)が孫悟空、猪八戒、沙悟浄たちとともに、天竺を目指すこの物語は、冒険やユーモアに満ちた作品として広く親しまれるようになりました。ここで描かれている三蔵法師は、玄奘をモデルとしながらも、物語の中で大きく脚色された存在です。様々な試練や困難に立ち向かい、成長していく冒険物語でありながら仏教の教えや神話的要素もあります。
日本でも堺正章(孫悟空)、夏目雅子(三蔵法師)、西田敏行(猪八戒)、岸部四郎(沙悟浄)らが出演した連続テレビドラマが人気を博したことで有名です。

現代の作品へと受け継がれるイメージ

ドラゴンボール

さらに時代が進むと、その物語のイメージは新たな形で受け継がれます。日本では、『西遊記』の要素が取り入れられ、『ドラゴンボール』という作品が生まれました。設定や物語は大きく異なりますが、困難を乗り越えて成長するという物語や神話的要素としての龍(ドラゴン)など共通する要素も多く見られます。中国の伝統文化において、龍は権威や力、幸運を象徴する存在です。ドラゴンボールの人気の秘密には東洋の神話的要素が所々に潜んでいるところにもあるのかもしれません。

平山郁夫が描いた玄奘三蔵

こうした物語の広がりの一方で、玄奘そのものに目を向けた画家もいます。日本画家・平山郁夫は、玄奘三蔵の旅をテーマに数多くの作品を描きました。画伯は15才の時に広島で被爆し、その肉体的、精神的な後遺症に苦しんでいたときに仏教の経典を携えてシルクロードを一人旅する玄奘三蔵の姿に強く惹かれました。自分の足でシルクロードを歩き沢山の作品を生み出しながら苦しみを乗り越えたと言います。

その作品には、砂漠を越えて進む人間の強い意志と、文化をつなぐ旅の重みが静かに表現されています。物語としての『西遊記』とは異なる、現実の旅の厳しさと崇高さがそこにはあります。

おはなし名画 平山郁夫と玄奘三蔵

『おはなし名画シリーズ』は「子どもが気軽に本物の芸術に触れられる環境を作りたい」という思いからできたシリーズで、名画とともに画家の生涯を辿ります。絵が大きくて色も鮮やかな専門家からも高い評価を得ています。日本図書館協会/全国学校図書館協議会の選定図書です。なかでも「平山郁夫と玄奘三蔵」は今回のテーマにぴったりですのでご紹介します。

「平山郁夫の生い立ち」と「仏教の伝来と玄奘三蔵」の二部作です。
38点の絵画とともに平山郁夫の歩んだ道と玄奘三蔵の求道の旅を辿っています。本体価格 ¥3,200(税別)
B4変型判 68ページ
作品点数 38点

玄奘三蔵
平山郁夫と玄奘三蔵」より龍王の場面

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