ゴッホの「ひまわり」はなぜ描かれた?切なすぎる理由を解説

ゴッホの代表作「ひまわり」。
明るく力強いこの絵には、実はとても切ない背景があります。
なぜゴッホは同じようなひまわりを何枚も描いたのでしょうか。そこには、「芸術家たちと共に生きたい」という願いと、叶わなかった孤独な現実がありました。
この記事では、ひまわりに込められたゴッホの想いを、わかりやすく解説します。

共同生活という理想とひまわり

ゴッホはパリから移住した南フランスのアルルで「黄色い家」を借り、芸術家たちと共同生活を送りたいと願っていました。画家たちが互いに刺激し合いながら暮らす理想の家を飾るために描かれたのがひまわりです。

共同生活をする芸術家の数だけ、ひまわりの絵を揃える計画だったともいわれます。キリストの十二使徒になぞらえて、十二人の芸術家を集めようとしていたという説もあります。

しかし、ゴッホがパリの画家たちを誘っても、実際にアルルまで来てくれた人はほとんどいませんでした。理想に胸をふくらませて先に家を借りたものの、現実は思うようにはいかなかったのです。そんな中、弟テオの助けもあって、ようやくゴーギャンとの共同生活が実現しました。

けれども、その暮らしも長くは続きませんでした。二人は芸術に対する考え方や性格の違いからしだいに衝突を深め、やがて決定的にすれ違ってしまいます。ゴーギャンはアルルを去り、ゴッホは再び一人になりました。ひまわりに託していた「仲間とともに生きる」という願いは、ここで大きく揺らぐことになります。

ゴッホ「黄色い家」

それでも描き続けた理由

ところが、ゴッホはゴーギャンが去ったあとも共同生活の夢を諦めきれず、ひまわりの作品を描き続けました。その制作は周囲の勧めで精神病院に入院するまで続きました。太陽に向かって伸びていくひまわりは、ゴッホにとって、理想を追い求める芸術家の象徴であり、叶わなかった願いの象徴でもあったのです。

ゴッホの「ひまわり」は、明るく美しい絵でありながら、その背景には深い孤独と挫折があります。

  • 仲間と生きたいという願い
  • うまくいかなかった現実
  • それでも捨てきれなかった理想

そうした感情が重なり合って、この作品は生まれました。
だからこそ、私たちはこの絵に、ただの花以上のものを感じるのかもしれません。

ゴッホのひまわりは何枚ある?

では、「ひまわり」は実際に何枚描かれ、どのような違いがあるのでしょうか。ゴッホは、花瓶に生けた「ひまわり」を主題にした作品を7枚描いたとされています。現在確認できるのは、公開コレクションにある5枚、個人蔵の1枚、そして戦災で焼失した1枚です。

①アルルでひまわりを見ながら制作した作品
(ロンドンのナショナルギャラリー蔵)
②自分の作品(①)の模写
(ヴァン・ゴッホ美術館)
③自分の作品(①)の模写
(東京のSOMPO美術館蔵)
④アルルでひまわりを見ながら制作した作品
(ノイエ・ピナコテーク蔵)
⑤自分の作品(④)の模写
(フィラデルフィア美術館蔵)

この5枚が、現在公開コレクションで鑑賞できる作品です。
背景の色(水色と黄色)で分けることも、元の作品と(①と④)自分の作品の模写(②、③と⑤)に分けることもできます。

アルルでゴッホと共同生活をしたゴーギャンは①のナショナルギャラリーの作品を「ゴッホの代表作だ」と言っています。

③は東京で鑑賞できます。東京にお立ち寄りの際はぜひ、ご覧ください。

⑤のフィラデルフィア美術館の作品を「ゴッホのひまわりの集大成」とする解説もあります。

⑥ゴッホが初めて制作した「ひまわり」
(個人蔵:アメリカ)
⑦1920年に芦屋の実業家が購入した作品
(第二次世界大戦の空襲で焼失)

この2枚は現在は鑑賞することは出来ません。

⑦は日本人実業家が購入した作品であり、のちに戦災で焼失したことで知られています。日本とも関わりの深い一枚として語られることの多い作品です。

2枚とも背景が暗く、枯れた「ひまわり」が描かれており、他の5枚に見られるような明るく生命感のある印象はあまり感じられません。

参考:山田五郎先生の動画

本記事のテーマについては、山田五郎先生のYouTube「オトナの教養講座」でも分かりやすく解説されています。山田五郎先生はゴッホに関して、耳切り事件、自画像の進化、自殺に関する謎など、様々な話題を提供してくださっています。どれも興味深いです。

 

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