バベルの塔とは?なぜ神は怒ったのかをわかりやすく解説

バベルの塔とは、人々が天まで届く塔を建てようとしたために、神によって言葉を乱され世界中に散らされたという旧約聖書の有名な物語です。
16世紀の画家ブリューゲルは、この壮大な物語を『バベルの塔』として描きました。巨大な塔は圧倒的な迫力を持っていますが、この絵には人間の傲慢さへの警告という深い意味が込められています。

では、神様はなぜ怒ったのでしょうか。それは単に高い塔を建てたからではありません。人間が神の意志に逆らい、自分たちの力だけで安全や秩序を築こうとしたことに問題があったと考えられています。

この記事では、山田五郎先生の解説も参考にしながら、物語の背景や意味に加えて、ブリューゲルの作品の見どころもわかりやすく紹介します。

バベルの塔とはどんな物語か

あらすじ

旧約聖書によると、当時の人々は皆同じ言葉を話していました。

彼らは力を合わせて天まで届く塔を建て、自分たちの名を後世に残そうと考えます。しかし神はその様子を見て、人々の言葉を互いに通じなくしました。その結果、人々は世界各地へ散らばり、塔の建設は中断されてしまいます。

これが「バベルの塔」の物語です。
その後、「バベル」は言葉が混乱することの象徴として語り継がれるようになりました。

なぜ神様は怒ったのか

山田五郎先生の動画には、神が怒った理由として主に二つの見方が紹介されています。

一つ目は、旧約聖書の流れから読む説です。
ノアの洪水の後、神は人間に「産めよ、増えよ、地に満ちよ」と命じました。ところが人々は散らばらず、一箇所に集まり続けるために塔を建てようとしました。つまり、塔は神の意志に逆らう象徴だった、という考え方です。

二つ目は、『ユダヤ古代誌』に見られる説です。
こちらでは、人々は再び洪水が起きても滅びないように、高い塔を築こうとしたとされます。もしそうだとすれば、それは神への信頼ではなく、神に対する反抗や復讐心の表れだったことになります。バベルの塔の建築を主導したのはノアのひ孫だということも象徴的です。

このように考えると、神が怒った理由は、人間の建築技術そのものではなく、「神に従わず、自分たちの力だけで安全と秩序を手に入れようとしたこと」にあったと理解できます。

現代の視点

現代の私たちは、科学技術によって多くの問題を解決してきました。そして、かつては「神の領域」と考えられていた分野にも踏み込もうとしています。しかし、「できること」と「してよいこと」は同じではありません。

旧約聖書の世界では、人間が自らの力だけで運命を切り開こうとすることは傲慢さの表れと考えられていました。もちろん、現代の私たちがその考え方をそのまま受け入れる必要はありません。

それでも『バベルの塔』の物語は、力や技術を手にしたときに人間はどうあるべきかという問いを、今も投げかけ続けています。人間の進歩そのものを否定するのではなく、大きな力を持つほど謙虚さが求められることを教えているのかもしれません。

ブリューゲルの『バベルの塔』の見どころ

16〜17世紀のネーデルランドでは『バベルの塔』を題材にした絵が数多く描かれましたが、その中でもブリューゲルの作品は特に有名です。壮大な構図と緻密な描写によって、今も多くの人を引きつけています。

バベルの塔

巨大な塔と小さな人々

この作品の魅力は、ただ巨大な塔を描いているだけではないところにあります。近くで見ると、塔の周囲には無数の人々が描かれています。石を運ぶ人、足場を組む人、作業を指示する人など、それぞれが自分の役割に集中しています。

その姿は、人類が力を合わせて壮大な事業に取り組む姿としても見えます。しかし同時に、人間が自らの力を過信しているようにも見えます。ブリューゲルは、塔の壮大さと人間の小ささを対比させることで、人間の偉大さと危うさの両方を描き出しているのです。

なぜ塔は未完成なのか

よく見ると、この巨大な塔はまだ完成していません。上層部では今も工事が続いており、多くの人々が建設に携わっています。これは単なる建設途中の風景ではなく、人間の終わることのない野心を象徴しているようにも見えます。

天に届こうとする壮大な計画は、完成する前に中断されてしまいます。ブリューゲルは未完成の塔を描くことで、人間の夢や努力の素晴らしさと同時に、その力を過信する危うさも表現したかったのかもしれません。

コロッセオに似ている理由

塔の外観がローマのコロッセオに似ている点も興味深いところです。

ブリューゲルは若い頃にイタリアを旅し、ローマを訪れています。その際に見た古代ローマの巨大建築が、この塔の構想に影響を与えたと考えられています。そのため、この作品に描かれている塔は古代メソポタミアの建物というよりも、16世紀ヨーロッパ人が思い描いた「人間の野心の象徴」として描かれているのです。

巨大な塔を見上げると、その壮大さに圧倒されます。しかし細部に目を向けると、そこには人間の夢や努力だけでなく、傲慢さや限界までもが描き込まれています。それこそが、ブリューゲルの『バベルの塔』が何百年も人々を魅了し続ける理由なのかもしれません。

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