認知症予防としての名画鑑賞
「おはなし名画」は、もともと「子どもが気軽に本物の芸術に触れられる環境をつくりたい」という思いから生まれたシリーズですが、実際には、大人の方々にも親しまれています。その理由の一つは、名画にふれる時間そのものが、年齢を問わず心と頭に良い刺激を与えてくれるからだと思います。
近年は、芸術鑑賞や文化活動が、高齢者の健康や心の豊かさ、社会的つながりに良い影響をもたらす可能性があることも報告されています。もちろん、名画を見るだけで認知症を完全に防げる、ということではありません。けれども、絵を見て感じ、考え、誰かと語り合うことは、脳や心をやさしく動かす大切な時間になります。
ここでは、名画鑑賞が認知症予防に役立つと考えられる理由を、いくつかご紹介します。
1.絵を見ることは、脳へのよい刺激になる
名画を鑑賞するとき、私たちはただ「きれいだな」と眺めているだけではありません。色づかい、形、構図、人物の表情、場面の意味などを自然に読み取ろうとしており、その過程でさまざまな認知機能が働きます。実際、芸術への関わりは認知的刺激や学びの機会になりうるとされ、認知機能の維持と関連する可能性が指摘されています。
たとえば、色彩の美しさや筆致の力強さが印象的なゴッホの作品は、見る人の感覚を強く呼び覚まし、絵を見る楽しさを存分に味わわせてくれます。
2.感情を動かし、心をいきいきと保つ
名画には、言葉を超えて心に届く力があります。作品に込められた喜びや静けさ、ぬくもりや哀しみを感じ取ることは、感情を豊かに動かす体験になります。高齢期の健康では、身体だけでなく心の活力も大切です。芸術活動や鑑賞は、気分や生活の質の向上にもつながる可能性があるとされています。
たとえば、ルノワールの描く楽しそうな人々を眺めているとこちらも幸せな気分になってきます。
3.心を落ち着かせ、ストレスをやわらげる
美しい絵を静かに眺める時間には、気持ちを落ち着かせる力があります。忙しい日常から少し離れ、ひとつの作品に意識を向けることで、心がやわらぐことがあります。ストレスは、認知症予防の観点でも無視できない要素です。
たとえば、印象派の画家である クロード・モネ は、自然の光や空気、水のゆらぎを繊細に描き出しました。やわらかな色彩は、見る人の心を穏やかにし、リラックスした時間へと導いてくれます。
4.絵をきっかけに、記憶や知識が広がっていく
名画鑑賞の魅力は、絵を見るだけで終わらないことです。画家の名前や作品名を覚えたり、その時代の文化や歴史、美術の流れに関心を持ったりすることで、知的な楽しみがどんどん広がっていきます。
たとえば、葛飾北斎の作品を通して、江戸の文化や日本美術の魅力にふれることは、記憶や知識の広がりにもつながります。
5.「誰かと一緒に楽しむこと」が社会的交流につながる
名画は、一人で味わうのも楽しいものですが、家族や友人と感想を語り合うことで、楽しみはさらに深まります。「この人物は何を考えているのだろう」「どの場面が好き?」と話し合うだけでも、自然な会話が生まれます。社会的つながりを保つことは、認知症予防において重要な要素の一つとされています。
また、絵に親しんでいると、「今度は美術館で本物を見てみたい」という気持ちが芽生え、外出や交流のきっかけにもなります。
たとえば、俵屋宗達の《風神雷神図屏風》を実際に見に行く京都旅行などは、芸術と交流の両方を楽しめる素敵な機会になるでしょう。
名画を楽しむのに、年齢は関係ありません。また、名画鑑賞は、特別な知識がないと楽しめないものでもありません。「きれいだな」「不思議だな」「なぜこんなふうに描いたのだろう」と感じること自体が、すでに豊かな鑑賞です。
だからこそ、「今まであまり美術に縁がなかった」という方にも、「おはなし名画」はおすすめです。やさしい語り口で作品の背景や見どころがわかるので、無理なく名画の世界に入っていくことができます。
名画にふれ、心を動かし、誰かと語り合う。そんな小さな積み重ねが、毎日の暮らしをより豊かにし、心と頭の元気にもつながっていくのではないでしょうか。
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