最後の晩餐はなぜボロボロになったのか?レオナルドの失敗に隠された挑戦
レオナルド・ダ・ヴィンチの代表作『最後の晩餐』。
しかしこの絵は、完成直後からすでに崩れ始めていました。
なぜ、天才はあえて“失敗する技法”に挑んだのでしょうか。
そこには、レオナルドならではの大胆な挑戦と、芸術家としての本質がありました。
この記事では、『最後の晩餐』の見どころとともに、その知られざる挑戦をわかりやすく解説します。
最後の晩餐とは?
「最後の晩餐(1495~1498)」はレオナルド・ダ・ヴィンチの代表作の一つで美術史上に残る傑作です。
最後の晩餐とはイエスが十字架に磔にされて処刑される前に、12人の弟子たちと開いた食事会のことです。この時、イエスは自分が処刑されることも、弟子の中に裏切り者がいることも全て知っていました。それでいながら彼らを愛し、人間の原罪を贖うために自分の運命を受け入れました。更に、自分を磔刑に処した人たちにも赦しが施されることを祈りました。どこまでも深い愛です。
レオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』には何が描かれている?
『最後の晩餐』は、キリストが処刑される前夜、弟子たちとともに食事をする場面を描いた作品です。その中でもレオナルドが選んだのは、「この中に裏切り者がいる」とキリストが告げた瞬間です。弟子たちは驚き、疑い、怒り、それぞれ異なる反応を見せます。この緊張感あふれる一瞬を描いたことが、この作品の大きな特徴です。

イエスの右隣の中性的に描かれているのが(マグダラのマリアとの説もある)ヨハネです。その隣に座って身構えるようにのけぞっているのがユダで、右手にはキリストを売り渡す報酬として受け取ったお金が入った袋を握り締めています。
この絵は修道院の食堂の壁に描かれたものです。修道士たちは食事のたびにキリストと最後の晩餐をともにしているような厳粛な気持ちになったことでしょう。
この絵の本当の見どころ
この作品のすごさは、単なる宗教画ではなく、人間の感情の動きそのものを描いている点にあります。弟子たちは3人ずつのグループに分かれ、それぞれが違う感情を表しています。
- 驚く者
- 疑う者
- 怒る者
その中心で、キリストだけが静かに佇んでいます。この対比によって、画面全体に強いドラマが生まれています。
レオナルド・ダ・ヴィンチが挑戦した技法
ここが、この作品の最も重要なポイントです。
古代ローマ時代からレオナルドの時代まで壁画はフレスコという技法を使って描かれていました。ところが、レオナルドはこの技法が嫌いでした。理由は塗り重ねが出来ないことと、筆が遅いとフレスコが乾いてしまうためです。しかも、レオナルドは師匠からこの技法を習っていなかったそうです。
そこで、レオナルドはテンペラ(卵などを用いた絵具)という技法で壁画に挑戦しました。この技法はただでさえ絵具の定着率が悪いのに加え、食事の湯気の影響もあり、レオナルドが生きているうちから絵がはがれ始めていたと言います。
レオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』が名作であり続ける理由
ではなぜ、この作品は今もなお世界的な名作なのでしょうか。それは、レオナルドが「完成度」よりも「表現」を優先したからです。一瞬の感情をここまで生き生きと描いた作品は、当時ほとんどありませんでした。技法としては失敗でも、表現としては革新的だったのです。
『最後の晩餐』は、単なる宗教画ではありません。「失敗を恐れず挑戦することこそが芸術である」というレオナルドの姿勢が、この一枚に凝縮されています。
だからこそこの作品は、今もなお人々を惹きつけ続けているのでしょう。
現在の「最後の晩餐」は1977年から1999年にかけて修復されたもので、限りなく原画まで復元されています。チャンスがあれば是非、実物を見てみたいものです。
参考:山田五郎先生の動画
本記事のテーマについては、山田五郎先生のYouTube「オトナの教養講座」でも分かりやすく解説されています。山田五郎先生はレオナルド・ダ・ヴィンチについて「自分に回ってきた大一番で前例のない冒険をする」ところがアーティストだと語っています。本当にその通りだと思います。
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