鳥獣戯画にまつわる謎(山田五郎先生のオトナの教養講座)

山田五郎先生の「オトナの教養講座」がとても面白いので、おはなし名画に関連する話題を中心に紹介していきます。山田五郎先生の解説がよりクリアに頭に入ると思います。「おはなし名画」を読む楽しみも深まります。

第一回目は鳥獣(人物)戯画の謎についての話です。取り上げられている謎は大きく次のふたつです。

第一の謎:全4巻(甲乙丙丁)の絵巻がなぜ「鳥獣戯画」として一つにまとめられているのか?
一般的に「鳥獣戯画」として知られているのは甲巻です。他の巻では擬人化されていない動物の絵(動物図鑑、動物絵の手本のようなもの)や人物の絵が描かれたりしています。画風も明らかに違うので、作者も異なるでしょう。描かれた時期も幅があることが分かっています。
確かに、一つの絵巻にまとめるの少し乱暴な気がします。

第二の謎:なぜ「鳥獣戯画」が京都の高山寺で約900年にも渡り別格の扱いを受けてきたのか?
沢山の国宝級の絵画を所有している高山寺で、「鳥獣戯画」は「お寺の宗派(華厳宗)の開祖の絵『華厳宗祖師絵伝』」と「お寺の中興の祖であり、実質的な開祖でもある『明恵上人の姿絵』」と同じ箱に入れて守られてきたのです。
確かに、単なる戯画の扱いとしては異例な感じがします。

ここからは山田五郎先生の推理ですが、この絵巻は単なる戯画ではなく何らかの宗教的な教えが描かれているのかもしれません。
明恵上人は「若き日には、求道の思いから右耳を切り落とし、釈尊への恋慕から二度にわたってインド行きを企んだ(高山寺HPより)」そうです。山田五郎も曰く「歴史上、自ら耳を切り落したのはゴッホと明恵ぐらい」です。

明恵の教えは「華厳を基礎とするが、華厳と真言密教を融合した厳密(ごんみつ)と呼ばれる独自の宗教観を打ち立てた(高山寺HPより)」とのことです。高山寺が「鳥獣戯画」を受け入れたのは明恵の死後ですが、明恵の教えと鳥獣戯画には何か関係があるのでしょうか?

おはなし名画「対訳・鳥獣戯画」

「新おはなし名画」の「鳥獣戯画」では白眉とされる甲巻の魅力を余すところなく紹介しています。躍動感溢れる動物たちの遊戯を見ながら色々と空想を膨らませるのも楽しいです。謎解きにも挑戦してみてください。

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