役ノ優婆塞 富嶽草創:葛飾北斎が描く修験道の開祖

会社の倉庫で沢山の北斎本を見つけました。北斎漫画、絵本挿絵、絵手本に混じって富嶽百景が2冊もありました。1冊は初編とのことで、外観は年季の入った貴重な歴史的資料といった趣ですが、中身はかなりボロボロでした。

おはなし名画の「葛飾北斎」や「対訳・北斎の富士」を作成したときにかなり読み込んだのかもしれません。これ以上、損傷させたらいけないと思い、写真を撮ってすぐ閉じました。初見の作品も沢山あり興味深かったです。折角ですので、少しずつ作品を紹介していきます。

作品「役ノ優婆塞 富嶽草創 」(初編11-12ページ)

「役ノ優婆塞(えんのうばそく)」とは「役の行者(えんのぎょうじゃ)」や「役の小角(えんのおづぬ)」とも呼ばれた、7~8世紀に奈良を中心に活動していたと思われる、修験道の開祖とされている人物です。 
「優婆塞」とは、在野の信仰者を意味します。

「日本霊異記」に伊豆に流された時、夜は富士山で修行したと書かれています。北斎が描いたのはその姿です。伝説の行者の神秘的な姿です。

「富嶽草創」とあるので、富士山岳修験道の開祖という位置づけなのかもしれません。

日本古来の自然崇拝に、仏教や道教などが習合した修行をともなう山岳信仰の一形態である修験道の開祖で、熊野から吉野に至る霊山を開いたとされる「役の行者」の伝説は沢山ありますが、富嶽百景に描かれていたことは知らなかったのです。伊豆に流されたことにより富士山で修行する機会を得たことも歴史の必然だったのかもしれません。

博雅堂出版では葛飾北斎に関する本を2冊出版しています。よろしければ下記のリンク先をご覧さい。

富士山に魅せられた天才絵師葛飾北斎が「富士山」と「富士山を見る人々の暮らしや文化」を描いた28枚の作品を、大江健三郎氏のノーベル賞受賞講演の翻訳された山内久明先生の格調高い英文付きで楽しめます。

B4変形 36ページ
作品点数 28点
本体価格 ¥2,000(税別)

描いて描いて描きまくった人生をご本人の北斎爺さんに絵の解説をまじえながら語ってもらっています。
北斎の熱い想いを子どもにも分かり易い文章で綴っています。50点以上の作品に加えて多数の挿絵が掲載されています。

B4変型判 64ページ
作品点数 50点
本体価格 ¥3,200(税別)

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