『琳派をめぐる三つの旅』は、日本美術を代表する流派「琳派」を、子どもでも楽しめる物語形式で紹介した美術絵本です。俵屋宗達、尾形光琳、酒井抱一という三人の画家の人生をたどりながら、代表作36点を大きく美しい図版で楽しむことができます。それぞれの個性豊かな作品を通して、琳派の魅力をやさしく学ぶことができる一冊です。
琳派とは?
琳派とは、江戸時代に生まれた日本を代表する絵画の流れの一つで、やまと絵という古くからある日本の絵の流れを汲んでます。日本に伝わる物語を題材として使いながら、更に工夫が施され、その作品はとても力強く、魅力に富んでいます。俵屋宗達、尾形光琳、酒井抱一などの画家たちによって発展し、金や銀を使った華やかな画面や大胆な構図、自然を題材にした美しい装飾的な表現が特徴です。
琳派は師弟関係で受け継がれた流派ではありませんが、作品や美意識を通して互いに影響し合いながら発展していきました。
第一の旅 俵屋宗達
琳派の祖とされているのが、俵屋宗達です。1600年代の前半に京都で絵屋を営んでいた町絵師ですが、生まれた年も、死んだ年も、家族のことも、どのようにして絵師になったかも、殆ど分かっていません。ユーモラスで大らかな個性が良く表れた動物の絵、当時の書の大家・本阿弥光悦と一緒に制作した美しい作品、そして国宝の「風神雷神図」などが有名です。宗達は、伝統的なやまと絵の技法を生かしながら、自由で個性的な表現を生み出しました。

第二の旅 尾形光琳
尾形光琳は、宗達の作品に強い影響を受けながら、琳派をさらに発展させた画家です。
1658年に京都の裕福な呉服屋に次男として生まれた光琳は幼いころから宗達や光悦の作品にも身近に触れて成長しました。光琳は宗達の作品から多くのことを学びました。「風神雷神図」の模写もしています。

「燕子花図」屏風には華やかで思い切りの良い光琳らしさがよく表れています。
光琳が本気で絵師を志したのは40歳ころと遅い出発でしたが、40代中頃にはこの「燕子花図」屏風が生まれ、絵師として世の中に認められます。
第三の旅 酒井抱一
酒井抱一は、江戸時代後期に琳派の美を再発見し、光琳の作品を研究しながら新しい表現を生み出しました。宗達や光琳とは違い江戸の絵師で、1761年に姫路城主酒井家の次男として江戸の大名屋敷で生まれました。40歳のときに光琳との絵と出合い、自らも画業に専念するようになります。
抱一は尊敬する光琳の模写をいくつも残しています。自分なりの工夫を加え、自分の絵の世界を切り開こうという意欲もありました。「夏秋草図」は光琳の「風神雷神図」の屏風の裏に描かれた作品です。

雷神の裏には雨に打たれる夏草を、風神の裏には野分に吹かれる秋草が描かれています。表と裏とのつながりを持たせ、さらに天と地、神々と自然、空白の使い方まで対比させています。
表の華やかな金地に対する裏の渋い銀地からは江戸の粋ともいえる美意識が感じられます。
『琳派をめぐる三つの旅』の中身を少しだけ紹介


琳派は親から子へ、師から弟子へと受け継がれた流派ではありません。しかし、彼らが残した作品とそこに宿る精神は互いに通じ合っています。
純日本的なやまと絵の流れを汲む彼らの作品は生活の様々な場面で使われ、生活を美しく彩ってきました。
おはなし名画シリーズの「琳派をめぐる三つの旅」は、36点の作品と分かりやすい解説でこの三人の江戸時代の絵師の人生を辿り、その絵を楽しむ旅です。
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読者レビュー
読者より
「琳派をめぐる三つの旅」を読んだ小学2年の孫にせがまれて、国立博物館の琳派展に行ってきました。孫は目を輝かせて見入っていました。孫が親に感想をつたえる姿を見て、この本をあげて本当に良かったと思いました。文はわかりやすく、絵はきれいに印刷され、こういう本はめったにないと思います。
博雅堂出版宛のお便りから紹介しています。おはなし名画を読んで興味を持ち、美術館で本物を観て感動する。本当に素晴らしいことだと思います。
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